« ■映画『マトリックス』(その1) | トップページ | ●読書メモ『物の本質について』(その2) »

■映画『マトリックス』(その2)

マトリックス 特別版
マトリックス 特別版
posted with amazlet at 08.05.15
ワーナー・ホーム・ビデオ (2007-09-07)
売り上げランキング: 1619

■『マトリックス』鑑賞メモ②──人間はウイルス?

『マトリックス』の中に、こんなセリフがあります。


人間は、本当は哺乳類ではなかったのだ。地球のあらゆる哺乳類は本能的に、環境に応じた増え方をする。だが、人間は違う。人間は行くさきざきで増え続け、資源を食いつぶすまで増殖する。生き延びるには、新しい土地に拡散するしかない。ところで、もう一つ、同じ型の生物がいる。わかるか? 〝ウイルス〟だ。人類は、地球をむしばむ病気だ、癌なのだ。


 最も高等な人間が、最も下等なウイルスと同類だというのは、本当でしょうか。

 そもそもウイルスとは何なのかといいますと、〝設計図〟です。家屋の設計図には、「こういう家を建てなさい」という指示が、船の設計図ならば「こういう船を造りなさい」という手順が書いてあります。

 では、ウイルスは何の設計図かといいますと、少しややこしいですが、「この設計図を、もう一枚作りなさい」と書いてある設計図です。家とか船とか、何かを作るための設計図ではありません。「私をコピーしなさい」というだけの、なんの意味も目的もない、ただ増えるために増える、設計図なのです。

 ウイルスは、例えるならば「不幸の手紙」です。「この手紙を受け取ったら、この文章を写して、二人の人に送りなさい。そうしないと、たたりがあります」という手紙が届いたとします。一人が二人に送ると、今度はその二人から四人に、その四人から八人にコピーされます。これが十回繰り返されれば千通に、二十回で百万通になります。

 実際は、そんな手紙があっても、わざわざ書き写して投函する人は、ほとんどいませんから、何百通になることはありません。それと同じで、設計図そのものは、恐ろしくも、何ともないのです。いくら設計図があっても、設計図を見て理解し、組み立てる作業員や、原料がなければ、何も作られないからです。ウイルスは設計図にすぎませんから、ウイルス自身には、増える力はありません。

 ところが、ウイルスが動物の体内に入ると、話は変わります。体には免疫という防御システムがありますので、ウイルスがもぐり込もうとしても、「おや、ヘンな設計図が入ってきたぞ! こんなものは捨ててしまえ!」と、破り捨てます。しかし、抵抗力が弱まっていたり、防御壁をすり抜ける巧妙なウイルスがいると、侵入されてしまいます。

 もしウイルスが体内に入りますと、動物の体は大工場のようなものですから、作業員も原料もふんだんにあります。そのため、この迷惑な設計図(=ウイルス)にしたがって、作らなくてもよい設計図(=ウイルス)を作ってしまいます。

 そうなると、たいへんです。最初は一枚の設計図が紛れ込んだだけでも、もう一つ設計図をコピーしてしまうと、二枚の設計図になります。二枚の設計図にしたがって、二個所でコピーされるので、四枚になります。設計図はネズミ算式に増えて、しまいには体じゅうに、「この設計図(=ウイルス)をコピーせよ」という設計図があふれて、ウイルスが爆発的に増えてしまうのです。ウイルスは、自分は何もしないのに、寄生した動物の力で増殖する、ずるい存在です。

 ウイルスの恐ろしいところは、二倍、二倍と、ネズミ算式に増殖することです。一個のウイルスが、三十回の複製で十億個に、五十回で千兆個になります。このウイルスが、のどに炎症を引き起こすと咳が出て、ウイルスは新しい体に乗り移り、そこでまた爆発的に増えるのです。

 さて、ここで気味の悪い想像をしていただきます。長さ二メートルのウイルスがいたとします。これだけでも〝ギャー〟ですが、それがどんどん増殖して、六十兆個になったとします。これは全部あわせると、地球を四百万周する長さです。それらが合体した怪物があなたの前に現れたら、どうしますか? 〝どひゃー〟といいたくなりますが、実は、その化け物こそ人間なのです。人間の「体」は、見方によっては、ウイルスの共同体なのです。(ここでいうウイルスとは、「遺伝子」とか「染色体」とよばれているものです)

 成人男性の体は、六十兆個の細胞からできています。細胞というのは、生物の体を作りあげるレンガのようなもので、中心には「遺伝子」という名前の設計図が入っています。細胞には、核となる設計図の他に、設計図を解読する作業員や、設計図をコピーするのに必要な原料(紙やインクにあたるもの)などが入っています。

 設計図だけのウイルスと違って、細胞は、設計図と作業員や材料がセットになっていますから、自分で自分の分身を作ることができます。ウイルスは、ただの設計図ですから、動くことも働くこともできません。しかし細胞は「生きて」いますので、自分で栄養を取りこんで、みずから材料や燃料を調達して、自分の力で、どんどん増えてゆきます。

 アメーバのように、一つの細胞でできている生物は、単細胞生物といわれますし、たくさんの細胞からできていれば、多細胞生物とよばれます。しかし、細胞の中で一番大事なのは、中心にある「設計図」ですから、動物は「設計図」が合体したロボットだといってもよいのです。「私の体」も、六十兆のウイルスが、一糸乱れぬ連係プレーで動いている共同体なのです。

「えー、私ってインフルエンザウイルスと変わらないの?」と思う人があるかもしれません。私の体を構成するウイルスと、インフルエンザウイルスとの違いは、他の体への乗り移り方です。

 人間の体を作る「染色体」という名のウイルスは、精子または卵子に乗って、新しい体(=自分の子ども)に宿ります。インフルエンザウイルスは、直接、新しい体(=他人)に口や鼻から侵入します。
 人間とウイルスは、物質的には、その程度の違いしかありません。

 ウイルスも細菌も牛も豚も人間も、生物はみな同根であり、命の重さは平等だということが常識になる時代が、いつか来るでしょう。

« ■映画『マトリックス』(その1) | トップページ | ●読書メモ『物の本質について』(その2) »

コメント

みんな の プロフィールは、アクセスアップをお手伝いするサイトです。
http://blog.livedoor.jp/mihomopr/


より多くのひとに貴方のブログを見てもらえます。

その結論になるのがわけわからん
話が飛びすぎだろ
命の重さ(笑)
まさに人間至上主義・生命至上主義の理屈

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/171233/41217145

この記事へのトラックバック一覧です: ■映画『マトリックス』(その2):

« ■映画『マトリックス』(その1) | トップページ | ●読書メモ『物の本質について』(その2) »