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【第1章④】願いがかなう「魔法のアイテム」とは

「自由」とは、何でも思いどおりすることであって、「何をすべきか」など考える必要はないと思われるかも知れません。
 では、お望み通り、あなたの願いがかなう「魔法のアイテム」を紹介しましょう。プラトンが『ゴルギアス』の中で語る、珠玉の一品です。これを使えば、気に入らない人間はすぐ死んでしまいますし、お金が欲しければ働かなくても手に入ります。「あの人の着物を引き裂きたい」と念ずれば、その服はただちに裂かれてしまうのです。そんな「魔法のアイテム」が、今なら特価3000円です。「何でも思ったとおりにしたい」という程度の安い「自由」なら、3000円で買えます。

 そのアイテムの正体は、私が懐に隠したナイフです。「なあんだ」と失望したことでしょう。しかし、実はここにこそ、自由の秘密があるのです。たしかにナイフで脅せば、今以上にやりたいことができますが、すぐ警察に捕らえられます。ここから分かることは、「自由」とは「ただ、何でも思いどおりにすること」ではないということです。「合法的」に振る舞わなければ、「自由」とはいえません。
 しかし、ここで早くも重大な哲学の問題にぶつかります。「合法的」とは何でしょうか。

「合法的」とは「法にかなったこと」です。しかし肝心なのは、その「法」とは何かということです。それぞれの時代に、それぞれの国で作られた「法律」のことでしょうか。そういう、国や時代によってコロコロ変わる「法律」に違反しなければ、何をやってもよいのでしょうか。
 例えば奴隷を買うことが禁止されていない国や時代であれば、他人を物や道具のように使うことも「自由」なのでしょうか。売春が認められた国に行けば、金銭で女性の体を自由にしてもよいのでしょうか。
「法律に違反しさえしなければ、思った通りしてよい」という考えは、あまりにも無責任だということは明らかです。
「自由」は決して、「合法的に好きなことをすること」ではありません。
「後ろに手が回ることさえしなえれば、何をやっても自由」というのは、ただの「放縦(わがまま)」であり、本当の自由にはほど遠いものです。「正しいこと」をしなければ真の自由にはなれません。
「自由」になるには、ただ法律を守るだけでは不十分で、何が「正しいこと」かを知らなければならないのです。

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