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【第1章⑤】「自由」に生きる知恵

 多くの人は「権力」を握れば「自由」になれると思っていますが、ただ力さえあればよいのではありません。
 自分の能力や体力、財産を何に使えば「幸せ」になれるのか、使い方を知ることが先決です。権力を手にしたのをいいことに悪を重ねていては、「自由」にも「幸福」にもなれないでしょう。
「力」のある人ほど選択肢は多くなります。普通の人には、「嫌いな人を殺す」という選択肢はありません。相手を上回る体力がなければ逆に殺されてしまいますし、警察に捕まったら一巻の終わりです。しかし、いくら独裁者になって、警察も恐れず人を殺せるようになったとしても、そんな選択をすべきではないでしょう。

 プラトンは、悪をすれば未来に必ず報いがあるから、たとえ権力があっても悪事をしてはならないと主張しました。例えば独裁者によって、無実の人がむざむざと殺されたとします。殺された人は最も惨めな存在に思われますが、そうではありません。無法な殺しをした者は、必ずその報いを受けねばならないのだから、大罪を重ねる独裁者こそ、誰よりも怖ろしい不幸に沈む、最も哀れな存在だとプラトンはいいます。権力がない人は、大量殺戮や強奪など大きな不正もできませんが、大きな悪報を受けることもありませんから、かえって幸せなのです。
 権力やお金があれば、好きなことができて幸せだと思っている人びとに対して、プラトンは「善」をする人こそ「幸福」になる人であり、権力だけ手に入れて悪に走る者は最も不幸なのだと説きました。
 ここに、私たちが本当の「自由」になるカギがあります。ただ権力さえ手に入れればよいのではありません。自分の力を、「善」に使ってこそ「幸福」になれるのではないでしょうか。
 自分の力を何に使うか、自分でよく考えなければ幸せにはなれないでしょう。選択肢が多い少ないを問題にする前に、正しい選択をする知恵が必要なのです。
 自由とは、限られた選択肢から、自分でよく考えて決断することですが、正しい決断をするには、「何をすれば幸せになれるか」を知らなければなりません。
「自由」に生きるためには、「正しいこと」とは何か、「何をすれば幸せになれるか」を知らなければならないのです。

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