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1部【第1章⑤】男は「地位」を求め、女は「つながり」を愛する

 先にいいましたように、男性は「地位」が上がるほど、より多くの女性に子どもを生ませるチャンスが増えます(そこには再婚や浮気も含まれます)。だから男性は、とにかく競争に勝ってライバルを蹴落とし、自分だけ頂点に立とうとする傾向があります。昔から、どの国でも、絶大な権力を握った男は、その力に応じた大きさのハーレムを築いてきました。男の究極の理想は、万国共通です。
 一方、女性は権力を握って、多くの男性を囲ったところで、子孫を残すという点では、メリットはほとんどありません。男性は、ハーレムを築けば何百人という子どもを生ませることができますが、女性の場合は、一生の間に生める子供の数は限られているからです。
 女性にとって大事なのは、たくさんの男を所有することではなく、自分を守ってくれる誠実な夫を持つことです。これで夫に富があれば、申し分ありませんが、それは女性の都合です。力のある男はたいてい、複数の女性に手を出します。なぜなら、本人が自覚しているにせよ、していないにせよ、男が血を吐く思いで権力を求めるのは、多くの女性を手に入れるためだからです。ハーレムを持てるだけの富がありながら、一人の女性を愛する王子様など、空想の中にしか存在しません。
 ハーレムにあこがれる男性は、ひたすら競争に熱を上げますが、ハーレムを築いても意味のない女性は、ライバルに勝つことではなく、周りの人と仲よくすることを大切にします。「協調」や「調和」といった、横のつながりを大事にするのです。
 これは一般的な傾向であって、男性でも競争より人間関係を重んじる人はいますし、出世を貪欲に求める女性もいます。しかし全体としてみれば、ちょうど男性のほうが女性より背が高く、男性より女性のほうが寿命が長いように、男性は地位を求め、女性は「横のつながり」を求める傾向があります。女性は普通、ライバルを倒してでも、自分だけ良い思いをしようとはしないのです。それよりも、周りの人と仲よくして、居心地の良い環境を作ることを重んじます。だから、困ったときでも、男性より女性のほうが、助けてくれる人は多いでしょう。
 男は、周囲との人間関係よりも、自分が出世することの方が大事ですから、常に強いストレスがかかって、女性よりも短命になります。苦境にたたされても、友達を作る努力を惜しんできたために、手をさしのべてくれる人もわずかです。男性の自殺率が、女性より何倍も高いのは、助け合いのネットワークが乏しいことも、大きな要因でしょう。

1部【第1章⑥】男女の違いを無視した「平等」はナンセンス

 権力の頂点に立とうとする男は、一つの目的に向かって打ち込む集中力があります。悪く言えば視野が狭いということですが、男性は一つのことに没頭し、熱中できるのです。人類の偉大な発明や発見が、ほとんど男性の手によってなされてきたのは、この集中力の賜物でしょう。
 しかし、よいことばかりではありません。権力を手に入れようとすれば、必ず争いが起きます。自分と同じく、権力を求めている男性ばかりなのですから、それらライバルを打ちのめさない限り、自分が出世することはできないからです。だからどうしても、男は攻撃的で暴力的になります。殺人事件を犯すのは、ほとんどが男です。女性が人殺しをしないのは、力が弱いからではありません。もしそれだけの理由なら、アメリカのような銃社会では女性でも簡単に人を殺せるのですから、女性による殺人が増えてもおかしくありません。しかし、依然として殺人を犯すのは男なのです。だから女性は力が弱いから人を殺さないのではなく、生来、優しい心の持ち主なのです。
 他人を倒し、殺してでも財産や権力を求めることに専念する男に対して、女性は他人に同情しやすく、周囲と仲よくすることを重んじます。そして財や地位よりも、子育てに関心があります。しかも、男性より視野が広く、いろいろなことに興味を持つのです。
 こういう男女の違いを無視して、「男女平等」を目指しても、良い結果は得られないでしょう。たしかに、職場の男女差別は無くさなければなりませんが、かりに男女の給料や評価が完璧に平等になったところで、女性が男と同様に出世競争に燃えるか、おおいに疑問が残ります。出世コースを順調に駆け上がった女性が、子どもや家庭を優先して、仕事を辞めるケースは少なくありません。それは、より幸せを感じられる道を女性が選んだ結果です。
 また、男に家事をもっとやらせて、形だけの平等を築いても、夫婦ともに幸せになるとは限りません。リスクを冒しつつも、難関を突破するスリルを味わい、競争に勝つことに喜びを感じる生き物が男です。会社での闘いでストレスをためた夫が、家でも面白くない家事をやらされて、ますますストレスがたまったら、そんな夫と一緒に暮らす家族は幸せになれるでしょうか?
 そもそも男性と女性では、求めるものが違うのです。

1部【第1章⑦】なぜ女性は男の三倍、自由なのか

 男女の違いとして、もう一つあげられるのは、「選択の幅」の違いです。男性よりも、女性のほうがずっと、選択の自由があります。
 女性は、仕事一筋で生きることもできますし、専業主婦になることもできます。働きながら子どもを育てることもできます。いずれも、立派な女性の生き方だと評価されます。それに対して男は、最初から仕事に専念して、一家を養う働き手となることが期待されています。男には事実上、生きる道は一本しかないのです。
「ボクは会社より家で料理、洗濯、掃除をしたい」という男性は、ほとんどいません。まして、そんな男を見て「かわいい!」と魅力を感じ、「私が面倒を見ちゃう!」と名乗りを上げる貴婦人は、まずいません。経済力のある女性ほど、もっと経済力のある男性を求める心が強くなるという統計があります。
 やはり男は黙って仕事に打ち込み、家計を支えるしかないのです。ひたすら出世を目指し、孤独な闘いでストレスをためながら、命を縮めるしかない男に対して、女性は環境が許せば、自分の選んだ道を進めるのです。
 自分が何を望んでいようと、とにかく働くしかない男性に比べると、女性のほうが、自分の本心が分かっていて、自分が望んでいることをしています。
 女性は、男よりずっと選択肢が広いのですから、正しい選択をしなければ、せっかくの「自由」が生かされないでしょう。男性も、ただ走り続けるのではなく、立ち止まって、自分は本当に望んだ生き方をしているのか、考えてみては如何でしょうか。

 自分の生き方に、「これで本当によいのだろうか」という疑問が生じたら、それは真の自由への大きな一歩です。

 では、本当の自由を探す旅に出ましょう。

ギリシア神話の世界

 ギリシア神話は、約三千年前に作られたものですが、今日なお、世界中で語り継がれています。西欧文明の根底にあるギリシア神話が、なぜ時を超えて読み続けられるのでしょうか。
 そこに登場する、極めて人間的な神々や、英雄、怪物がレパートリーに富んでいて、話が面白いというのも、魅力の一つでしょう。しかし、単なる娯楽に終わらず、深い人間観、世界観が神話という形で語られているからこそ、現代人の胸を打つのではないでしょうか。
 古代ギリシア人が、人間の心理を奥深く見つめていたことは、フロイトやユングがギリシア神話から洞察を得ていたことでも分かります。科学技術が進歩しても、人間そのものは三千年前と全く変わっておらず、また国や時代が違っても、人間の本質は同じだからこそ、ギリシア神話が広い共感を得るのかもしれません。
 古代ギリシア人が、人間や、人間の運命をどのように考えていたか、聞いてみましょう。

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