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『コンプライアンス 服従の心理』

 クレイグ・ゾベル監督の映画、『コンプライアンス 服従の心理』は、ケンタッキー州のマクドナルド店でおきた実話を映画化したものです。
 映画の中では、中年女性の店長サンドラに、「ダニエルズ」と名乗る警察官から一本の電話が入ります。店に勤めているベッキーという若い女性が、客の財布から現金を盗んだというのです。しかし実際は、この自称「警察官」は、言葉巧みに人を動かす変質者でした。
 サンドラ店長は、電話の主に、うまくまるめこまれて言いなりとなり、最終的には、ベッキーの服を脱がせて身体検査までしてしまいます。
 日本でも、「振り込め詐欺」が横行していますから、他人事ではありません。
 自分がサンドラ店長の立場だったら、騙されないか、反省を迫られる作品です。

村上春樹の道は遠く

 村上春樹の新作『色彩を持たない多崎 つくると彼の巡礼の年』は、「記録破りの巨大部数」といわれる50万部でスタートし、発売後一週間で百万部を突破しました。
 世界中で村上作品が待ち望まれていますが、これが「ゴール」ではありません。本人は、こう語っています。
「道のりは遠いけれど、目標は偉大でダークな小説を書くことなんだ。ドストエフスキーのようなね。そんな作品が書きたい」(日本版『Newsweek』2013.5.21号、44頁)
 家康がいう通り、やはり人生は「重荷を負うて、遠き道を行くがごとし」なのでしょうか。
 そういえば村上春樹は、このようにも書いていました。
 僕は僕自身が楽になるためにこのようなスケッチを書き、世間に対して公表しているわけではない。(中略)少くとも今のところこのような文章を書くことによって僕の精神が解放されたという徴候はまったく見えない。(中略)人は書かずにいられないから書くのだ。書くこと自体には効用もないし、それに付随する救いもない。(村上春樹 『回転木馬のデッド・ヒート』)
 死ぬまで完成のない、終わりなき道なのは、「文学」だけではないでしょう。

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