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『ニコマコス倫理学』アリストテレス

 万学の祖アリストテレスは、『ニコマコス倫理学』で、「幸福」について正面から論じました。幸福学の元祖ともいわれます。

『ニコマコス倫理学』でアリストテレスは、人生究極の目的は「幸福」だと断言しました。

 働いてお金を獲るのは、幸せになるためです。地位や名誉を求めるのも、幸福を獲るためでしょう。しかし、幸福になるために、何かをすることはありません。だから、幸福こそ、あらゆる行動の究極の目的なのです。
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アリストテレス
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●同上30-32頁より引用
 われわれが幸福を望むのは常に幸福それ自身のゆえにであって決してそれ以外のもののゆえではなく、しかるに、名誉とか、快楽とか、知(ヌース)その他いろいろのアレテー(卓越性・徳)をわれわれが選ぶのは、これらのもの自身のゆえでもあるが、(そのいずれの場合にあってもわれわれは何ものがそれから結果するのでなくともそれを選ぶだろうから、)しかしまた、幸福のために、すなわち、それによって幸福でありうるだろうと考えて選ぶこともあるのだからである。だが幸福をこれらのもののために選ぶひとはいないのであり、総じて、幸福をそれ以外のことがらのために選ぶひとはない。(中略)幸福こそは究極的・自足的な或るものであり、われわれの行うところのあらゆることがらの目的で或ると見られる。(引用ここまで)

『生の短さについて』セネカ

 アリストテレスが、人生究極の目的は「幸福」だと断言して以来、哲学者は真の幸福を求めてきました。しかし、いまだに決定的な答えはでていません。現代人はなお、幸福については五里霧中です。

 二千年前のセネカの手紙は、まるで今日に書かれたもののように思えます。幸福についての知識は、二千年間、進歩していないのかもしれません。
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●同上121頁より引用

 仕合わせに生活したいのは誰もみな望むところである。しかし人生を幸せにするのが果して何であるかを見定めんとすることには、誰もみな五里霧中の状態である。それだけに、幸福な人生に到達することは容易な業でないどころか、誰でも一歩道を誤れば、幸福な人生を求めて急げば急ぐほど、逆にそこから遠ざかってしまうばかりである。いわんや道が反対の方向に進みでもすれば、急ぐことすらその間の距離をいよいよ大きくすることの原因になる。
 それゆえ、まず根東におくべきことは、一体われわれの努力すべき目標は何か、ということである。(引用終わり)

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