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『哲学入門』哲学は何の役に立つか

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 哲学は何の役に立つのか。ヤスパースは、「この役に立つ」と、哲学を弁護することは不可能だと言っています。

 最古のギリシアの哲学者といわれているタレースは、あるとき天体を観測しながら井戸の中へ落ちたことがあった。ところがこれを見た女中が、あんたはいちばん近くのことにもこんなに不器用なくせに、なぜいちばん遠いものを捜しているんですかといって、タレースを笑ったことがあります。
 そこで哲学は弁護されねばならないわけでありますが、それは不可能なことであります。哲学はある他のものから弁護されるわけにいかない。と申しますのは、哲学はある他のものにこのような弁護をしてもらうほど、何の役にも立っていないからです。(中略)哲学が知りうることは、哲学はこの世におけるあらゆる利害得失の問題から解放された、目的をもたないところの、人間そのものにかかわる事柄を営むものであるということ、そしてそれは人間が生きるかぎり実現されるであろうということであります。(上掲訳書19-20頁)

『哲学入門』哲学は「驚き」から始まる

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 ヤスパースは、人間が哲学を始める動機を三つ、上げています。最初に上げているのが、「驚き」です。

 第一──プラトーンは哲学の根源は驚きであると申しました。私たちの目は私たちをして『星や太陽や大空の光景に参与させた』。そしてこの光景は私たちに『万有を研究する機縁を与えた。それから哲学が生まれてきた。それは神々からはかない人間に貸し与えられた最大の財産となった』。(中略)脅威の念をいだくことにおいて私は無知を意識する。私は知を求める。しかしそれは知そのもののために知を求めるのであって《何らかの日常的な必要のため》にではないのであります。(上掲訳書23頁)



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