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『哲学入門』哲学は何の役に立つか

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ヤスパース
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 哲学は何の役に立つのか。ヤスパースは、「この役に立つ」と、哲学を弁護することは不可能だと言っています。

 最古のギリシアの哲学者といわれているタレースは、あるとき天体を観測しながら井戸の中へ落ちたことがあった。ところがこれを見た女中が、あんたはいちばん近くのことにもこんなに不器用なくせに、なぜいちばん遠いものを捜しているんですかといって、タレースを笑ったことがあります。
 そこで哲学は弁護されねばならないわけでありますが、それは不可能なことであります。哲学はある他のものから弁護されるわけにいかない。と申しますのは、哲学はある他のものにこのような弁護をしてもらうほど、何の役にも立っていないからです。(中略)哲学が知りうることは、哲学はこの世におけるあらゆる利害得失の問題から解放された、目的をもたないところの、人間そのものにかかわる事柄を営むものであるということ、そしてそれは人間が生きるかぎり実現されるであろうということであります。(上掲訳書19-20頁)

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